療養病棟の見学に行った思い出

中三の夏休み、母親の勤めている病院の見学に行くことになりました。私の学校は中高一貫校で、受験がない代わりに卒論があって、母親の仕事である医療施設の介護士のことを書くことなったからです。
でも、前日に友達から遊びに誘われてめっちゃ行きたかったのと、当日は朝から異様な暑さで…正直行くのがダルくて。ついベッドでダラダラしていたら、さすがにキレた母親に
「早くしなさい!職場の人に見学のお願いしてあるんだから!」
と怒鳴られて。しぶしぶ制服に着替えて、母親と一緒に家を出ました。

電車に15分ほど乗り、駅から10分ほど歩くと汗だくになりました。
「暑い・・・ダルい・・・」
帰りたくなってきた頃に、やっと病院の建物が見えてきました。初めて見る母親の職場。意外とキレイだな、それが最初の印象です。
建物の中に入ると、ほどよく冷房が効いていて生き返った気分。うん、ちょっとやる気が出てきたぞ。すると、母親がどこかからキレイなお姉さんを連れてきました。事務の職員さんだそうです。
「今日はよろしくね。私がこの病院を案内するから、わからないことがあれば何でも聞いてね。」
「ハイ、よろしくお願いします」

母親は持ち場へ向かい、私はキレイなお姉さんと病院内を巡ることになりました。
お姉さんの説明によると、母の勤める病院には「一般病棟」と「療養病棟」があるそうです。「一般病床」は病気やケガをした人が治療を目的に短期で入院するところ。「療養病棟」は、病気やケガの症状は落ち着いているけど、長期で治療が必要な人が入院するところだそうです。母親は「療養病棟」(介護療養型医療施設という種類らしい)で介護職とケアマネージャーという仕事を兼務しています。

実際に療養病棟に入ってみると、お医者さん、看護師さんの他にも、母親と同じ介護士の方やリハビリを行う理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方…さまざまな職種の人が、それぞれの持ち場でキビキビと働いています。それを見て私は、
「うわーかっこいいな」
って思いました。私は学校でバレー部に入っているのですが、バレーボールでもそれぞれのポジションが持ち場をしっかりこなすのが大事。なんか、うまく言えないけどそれに通じるものを感じたのです。間近で仕事を見学したのが初めてだったこともあり、あっという間に引きこまれました。その影響は絶大なもので、今では介護の仕事を目指すようになり、母親に背中を押されつつ日々勉強を頑張っています。